MENU

地味に辛いよロンドン留学④「到着直後に寝込みました」

本記事はアフィリエイト広告を含みます。

 それまでのあらすじ

 深夜の11時にホームステイ先の最寄り駅に一人放り出され、人っ子ひとりいない夜の街を初見でさまよう事になったのだが、もちろん全面的に私が悪いのだった。

 こんかいのあらすじ

 日頃の行いが良いおかげで無事ホームステイ先にたどり着いた私はまず探検へと赴くのだが、探検とくればつきものの謎の病に襲われるのであった。

(2022年6月22日初稿
 2023年11月21日加筆修正)

前回のあらすじ
あわせて読みたい
地味に辛いよロンドン留学③「パリで終電逃した」 大学2回生の時、パリのどこかも分からぬ場所で終電を逃してしまい深夜のパリを歩き通した話です。
目次

なんでホームステイ先にたどり着くのに四話もかかるのだ

迷子になりやすいひろぽん

 前回このブログを更新してから一か月近くが経っている。もともとニッチな層にしか読まれていない私のブログである。水族館のマグロのように更新し続け泳ぎ続けていなければ誰からの目にもとまらず泳ぎ疲れた回遊魚として水底に横たわり忘れ去られる運命である。

 と言ってもやる気が出なかったものは仕方がない。

 商業誌でなくて同人誌であっても連載を始めてきちんと話を畳むまで描き遂げる作家さんというのは大したものなのだなあと敬意すら覚えるようになった。

 あと、エターになる作家さんの気持ちも多少分かった。

 もうええんである。描きたい所だけ描いてしまえば満足するし。

 だから書き手には溢れんばかりの描きたいシーンのイマジネーションとそれを形にしたいと思える自分の熱意が何よりも必要なのだなあと思う今日この頃。

国際交流もビジネスよ

 さて、たどりついたホームステイ先であるが、そもそも留学生が語学留学生から大学院の研究員まで山ほどいる学術都市でもあるロンドン。日本で海外から留学してきた学生をホームステイさせているというと家族同等の扱いをしたりボランティア的な国際親善活動の雰囲気がするものだが、まあそれも日本が留学生を大量に受け入れる政策に舵を切ってからはルームシェアやらホームシェア、果てはワンルームに11人住まいなどと様相は変わってきている。

 昔から留学生で飯を食ってきたしたたかな都市ロンドン、そりゃあホームステイといっても千差万別である。

 伊達に夏目漱石をノイローゼにして帰国させた訳ではない。

 私が割り当てられたホームステイ先は、日本で言うなら半分下宿屋のようなものであった。ステイ先は医者で稼ぎも良くでかい家を建て、ついでに半独立状態の離れの部屋を数部屋つくりそこをホームステイ希望の留学生に貸して副収入を得ていたんである。

 部屋のランクによって、テレビがついていたり(私の部屋はラジオ付きの時計だった)一々芸が細かいのだが、共用スペースに冷蔵庫とトースターがありパンとミルクは勝手に補充してくれるありがたいシステムであった。逆にいうとホストファミリーと食卓を囲む事なぞなかったのだが。

 また、部屋の掃除も学校に行っている間に勝手にやってくれてシーツなども交換してくれている様子。

 別にそんな事気にするような年齢でもなかったので半年くらい何もされてなかった可能性もある。

 風呂とシャワーはほぼ間借り人が使うだけのものがあったが、もともとの家自体がグレードの高いものだったので大理石に真鍮の飾りとやたらゴージャスだったのを覚えている。

 まあ、これも勉強しにきた男子大学生にはあまり関係ない。

 同居人はスゥェーデンからきたアラサーの兄ちゃんとシリアから医学の勉強に来たという割には部屋でテレビばかりみている兄ちゃんだった。

 普段はお互い接点がないのだが時折妙に波長が合ってコソコソと家主のposh(セレブぶる暮らしっぷり)について気に食わねえと盛り上がったり、それぞれの故国での話をしたりした。家主たちが一週間ほどバカンスに行った時、本館にビールを持ち込んでビデオを見ながら

「あいつらいつもこんなとこでいい思いしてんだぜ、たまには俺たちだってお相伴にあずかったっていいじゃねえか(意訳)」

 と盛り上がったのは良い思い出である。

 ホームステイといっても千差万別で統一された基準があるわけではない(受け入れ希望者への審査みたいなものはあるらしいが)。

 語学学校で知り合った日本人のクラスメイトの子からは、インド人のステイ主に襲われかけて部屋の窓から逃げてきたという波乱万丈にも程がある体験をした話から、語学学校でできたボーイフレンドとの恋バナにステイ主のおばあさんが親身に相談に乗ってくれていたというほのぼのした話までいろいろと耳にした。

 つくづく、男というのは何もしないと構ってももらえないが余計な虫が寄ってこないので楽なものである。

かなり適当

 そんな中、私がステイ先に割り当てられた部屋というのは勉強机が一個とセミダブルのベッド、そして洗面台がついていてそれでいっぱいのこぢんまりとした部屋であった。

 確か部屋に通された時に、掃除機は毎週〇曜日にかける、シーツは〇曜日に洗うみたいな説明を受けたような記憶が今蘇ってきた。

 ただ、生活を共にするわけではないので結構適当に説明されて終わった気がする。

探検しよう、僕のまち

ミミズより単純

 とりあえず、上げ膳据え膳でメシが出てくる訳じゃなさそうだし、下宿みたいなものだから地元の冷たいビールでも飲みてえな。

 そんな考えで近辺の街を探検しに出たのだが、びっくりした。家の前を通っている片道一車線の道路が街最大かつ唯一のメインストリートなのだ。

 店らしきもので営業しているのは家の近所にあるエロ本からビールまで扱っているまあコンビニみたいな小さな雑貨屋が一軒。

 そして駅の近くにあるやけに規模の大きなスーパーマーケット兼ドラッグストアの「TESCO」(日本だとイトーヨーカドーとか西友みたいな全国規模のスーパーである)が一軒。そして無人駅周りに営業してるんだか潰れているんだかもうどっちでもいいような仕舞屋が数軒。

 これがメインストリートにしがみついている。

 古い看板やポスターを見ると、どうやらこの街には日本の書籍専門の古本屋(海外で日本の本が読めるというのはとても貴重な楽しみなのだったが今のネット時代にそんな事を言ってもしょうがないよね)があったらしいのだがどこにあったのかもわからなくなっている。

 残念だなあとため息をついたのだった。

 残念なのはお前の方だというのに。

 その後私は、ミミズみてえと馬鹿にした街の単純な構造とバスとイギリスのイトーヨーカドーに救われる事になる。

探検につきものなのは・・・

 ホームステイ先の探索も済み、語学学校に手続きに行かなくてはなあなどと考えていた夜、私は急な高熱でぶっ倒れた

 探検隊が避けて通れないのは免疫を持っていない未知の伝染病と決まっているのだが、私もその伝に漏れず未知の病に倒れたらしい。

 留学してこちらに来るまで夜も昼もない勉強とアルバイトのかけもちで体がとうとうオーバーヒートしたのか、こちらで何か悪いものにあたったのかもよくわからない。

 咳が止まらず、39度代の高熱にうなされた。

未知の風土病

 後日回復して語学学校でこんな目にあったと話すと、同じような体験をしたという人は予想以上に多かった。

 そしてその大部分がロンドンにやってきて一週間以内に発症して寝込んでいたといいうのである。

ひろぽんこんこん山の中

霧のロンドン㊙裏事情

今は環境規制が厳しくなっていて随分環境が違っていると思うが、ロンドンの霧というのはあれはスモッグという煙である。当然肺に悪い。

また、SDGsの先駆けというより単にめんどくさいだけだと思うが、1990年代に1970年代くらいの既にゴミを吸わないどころか逆に今までため込んだゴミを吐き出して空気を汚染しているんじゃないかというレベルの掃除機を賃貸フラット(アパートの事である)の備え付け家具として大家が持ってきたりするレベルで清潔に関する意識が低い。

また、家電製品もオンボロな代物でも新聞や雑貨店などの店先にある掲示板に告知を出して粗大ごみにしないよう譲り合っている。

中古製品をリユースするという意識はいいが、どこぞとのものともしれぬマットレス付きのベッドを持ち込んできたら案の定ダニの巣でてんやわんやの大騒ぎになったりと、

「中古だけどメンテナンスしっかりしてるんで安いだけお得ですよ!」

ではなくて

「中古でメンテナンスもよくわかんないし保証しないけどダメなら捨てればいいしお得だよ!」

というマインドなのである。アンティーク趣味というのも良いものだが、メンテナンスがしっかりされててなんぼという事を覚えておいてもらいたい。

てな訳で、ロンドンは案外不衛生な街なのであった。車もポンコツで木炭車かと思うような煙のはき方をしているのが走っている。

喉が痛くなり、呼吸器がやられて皆高熱を出して寝込むのだった。

生きた英語だよ畜生

 私もその例にたがわず喉から気管支をやられて酷い咳と熱で寝込んでしまった。

 今のガラスの十代みたいな繊細な身体なら常に常備薬セットは持ち歩いているが、若くて滅多に体調も崩さない状態でそこまで気は回らない。

 だが、身体は激烈に解熱剤と痛み止めを求めている

 駅前のTESCOにドラッグストアが併設されていた!あそこなら食料も手に入る!

解熱剤を和英辞典で調べると・・・painkillerか。

 TESCOにはメインストリートをバスで下れば5分でつく簡単な仕組みになっており、ミミズみたいに単純なこの街の仕組みに改めて感謝する事となった。

 解熱剤と缶詰スープを買い、重たい荷物だがバスのおかげで帰ってこれた。

 が、いまいち解熱剤の効きがよくない。

 体中がほてり、足元の洗面台に水を張ってそこに足を突っ込んで少しでも涼感を取ろうとする。

 ひたすら寝汗が続き、1週間寝込む事になった。

助けを求めりゃ良かったけどさ

 で、この窮状に対してホストファミリーはというと

「何にもしてくれなかった」

 1週間も外に出ずゲホゲホ言って寝込んでるんだから気の遣いようでもねえのかよと当時は思っていたのだが、なくて当たり前なんである。

「助けが必要なら本人から言ってくるのが当たり前だから」

 どうも私は自分でなんでもしてしまいがちな傾向があるようだ。

 実際、同じころに日本からやってきて同じように呼吸器をやられて寝込んだクラスメイト(5歳ほど年上のものっそい美人。英語を勉強して上級秘書検定の取得の為に留学してきた)は、クレジットカードについていた旅行保険でお医者さんを呼びお尻にぶっとい注射を打ってもらって軽快したという。

 そこで私がよからぬ連想をしたかどうかまでは覚えていない。

順調に話はすすまないのだった

 ロンドンにやってきたのはいいが、病気で1週間学校にもいけず1回休みである。

 一体いつになったら私は勉強を始めるのかという話になるが、勉強の話だけにするとすぐこの留学記は終わってしまいそうなので適度に忘れ去られないように進めていきたいと思う。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

コメントをもらえるとうれしいです

コメント一覧 (6件)

  • どうも♪ニッチな層の読者のひとりデスw

    ものっそい美人!!笑
    私も美人が好きなので見たかったです。
    昔からオッサンたちに囲まれながら仕事していたので、美人は心の栄養です!

    ゴミを吸わないどころか、吐き出してる掃除機!想像出来すぎて笑いました。
    いまの記憶を持ってこの時に戻れたら、もっとうまく立ち回れたのになぁなんて思い出しながら読んでました。

    続き読ませていただきまーす♪

    • まかさんこんばんは
      コメントのお返事が遅れてしまいごめんなさい
      ちゃんとコメントをつけてくれた方がいたらメールで通知が来るよう設定してるのですが、スパムメールが多すぎて見られない問題をなんとかしないといけませんね

      >ものっそい美人
      美人は眼福といって私も見ていて楽しいですが、その人は日本人ばなれした美人で「美人すぎてもう別ジャンルの生き物」に分類してつきあってました
      タイプじゃないだけ?そんな事はないデスよ?

      >掃除機みたいなナニカ
      そもそもロンドンって大都市の割に大型電気屋とかなかったんですよね
      秋葉原みたいな電気機器専門街があるでもなし、今は潰れてますが日系のヤオハンショッピングセンターに大きめの電気ショップがあったかな?程度
      日本の常識では考えられないくらい電器店がなく、皆どこで買ってるのか疑問でした
      だから70年代製みたいなポンコツを御大層に抱えてくる大家がいる訳ですけどね

      >今の記憶をもって戻れたら
      ルートを選ぶ自由と結果の変化があるのなら、ですね
      何をしても最後は同じというファイナルデスティネーション状態は嫌です

    • すみません、学校まで行きつけませんでした
      予定の半分しか書けず1番苦労しましたね

  • こんばんはひろぽんさん
    旅先からお邪魔します

    霧のロンドンの正体を知り、行ったことがないけれど想像していたのとは違う事にビックリ
    謎の風土病とのことから、アフリカ辺りで流行っている何か(勝手にHIVなどの怖い病気に、空気感染でもするのかと、ドキドキしていました。)かと想像していました。
    ダニにやられていましたとは!ダニもバカにできないらしくて、アレルギー様の症状を起こすことがあるらしいです。今回の場合もそれなのかしら?怖いですね。なんでも使い回しは
    SDGsばかり叫ぶのも、責任持てやコゥルア〜ボケカスアホンダラです

    ホームステイにも種類があるのだなぁと
    インド人の方は、本当にお気の毒
    おばちゃんに恋愛相談に乗ってもらったのは、ラッキー

    ひろぽんさんのところは、何もしてくれなさそうなところでしたね お金持ちなのにね
    お掃除をしてくれて、パンとミルクを用意してくれるのは、良かったほうなのかしら?
    お友達と本館で酒盛りをしたのはバレなかったのかしら?きっとバレてましたね笑笑

    若い時はともかく、今の私はかなりのコミュ障なので、(一見そうは見えないが、頑張ってコミュ力高いふりをする)他の人のことはほっといて、部屋に引きこもりそう…
    楽しそうでしたね!3人で悪口やお互いの国のことをおしゃべりするのは
    その後の交流は続いたのかしら?

    オモロイ出来事が盛りだくさんですが、学校のことも知りたいです
    次回に期待に胸を躍らせ、待ってます!

    • まどかさんこんばんは

      コメントありがとうございます(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”
      かのんの事を思い出して哀しくなり1本ストロングゼロを飲んだら胃がぽんぽんになり、太田胃散を飲んで効くのを待ってます

      ロンドンの風土病の原因は空気の悪さなのでした

      今回色々なネタが入ってますが時系列的にはかなりあとの話も入っています
      ただ、どれもそれだけでひと記事書けてしまうので敢えて細部の解説は止めておきます

      (オンボロ掃除機やダニマットレスはホームステイ中の話ではありません)

      ホームステイ中の同居人とは基本的な生活パターンが違うので話し込んだのは数回くらいでホームステイ解消後はそれきりですね
      ホームステイ先は他にもスプレッド(ジャム)やバターなども用意してくれていたので悪くはなかったですよ

      忍び込んでの酒盛りはバレませんでしたが、学校から借りてきたコメディのビデオを見ていたらデッキに詰まってテープをダメにしてしまいました

      悪いことは中々できないものですねえ

      ホームステイ中は勉強に専念していたので邪魔されず悪くなかったです
      次くらいは学校と勉強について真面目な話になるかもしれません

コメントする

目次