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地味に辛いよロンドン留学⑨ 「ひろぽん、日本の彼女ともめる 前編」

 留学した人間にとって一番悩みの種になるのは母国に残してきてしまったステディな彼/彼女との遠距離恋愛と言っていい。

大体は遠距離恋愛は破綻してしまい、ノイローゼをきたす例も珍しくないと当時耳にした。

 そんな時に助けになるのは現地でできた友人などの人間関係なのだが、そこで恋愛にステップアップしようとすると突然相手が日本に残してきた彼/彼女の話を一晩かけて聴く事になってしまい良心がとがめて手が出せなくなり生殺しになったりまあ色々。

 まあ、そんな事を無視する暴れん坊さんもいて、一時は三股をかけていた事から私はその暴れん坊さんの事を「トライデント」と勝手にネーミングしていた。

 私と日本の彼女との間は半年以上揉め続ける為、ごく一部だけ語ることで勘弁してほしい。絶好調にメンがヘラってたので思い出したくないんである。

(2024年8月12日初稿)

前回はこちら
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目次

日本で出会った人

きっかけは回転レシーブでした

 大学の三回生の頃、つまり留学費用を貯めるバイトと卒業に必要な単位を取得する為に一週間に十三個ほどのアルバイトを入れていた時代だが、前向きな方向へ多忙な時は余計な事を考えなくて良いので充実感があった。

 何せ方向は決まっている。

 後は努力するだけであり、当時の自分には必要な努力をこなすだけの気力も体力もあった。頑張れば頑張るだけ報われる、なんかねずみ講にハマった被害者の誘い文句みたいであるが思考が停止している点は同じである。

 そんな六月頃、大講義室で授業を受けていると前の方のグループに初めて見る綺麗な人がいた。

 何の接点もないグループだったので
「綺麗な人がいるもんだなあ」
と思って過ごしていたが、当時私が所属していたイベントサークルの七夕バーベキュー大会でその綺麗な人と知り合う事になるとは予想もしていなかった。

 そのバーベキュー大会、酔って失恋の傷が癒えてない子の傷口をえぐって泣かせるあんぽんたんが出てきたりして、私は泣いている子を慰めたり
「女の子を泣かすとは何事だ!」
とブチ切れる単細胞相手にして
「これ以上もめ事を増やすな! 〇〇! こいつ ××(女の子を泣かせたあんぽんたん)に近づけるな! 他所つれてけ!」
と事を収めるのに手を焼かされた。

 その時の私の振る舞いはファインプレーだったと思うが、一番のファインプレーはバーベキューの後のまだ平和な時にやっていたバレーボールで見せた
「回転レシーブ」
と言っていいだろう。
 単にレシーブしようとしたらつま先がひっかかって転びそうになったものの、当時ローラーブレードをやっていたおかげでバランス感覚が人生一発達しており転ぶどころかそこでくるんと前に一回転してしまっただけなのだが。

 そのバレーボールで私はくだんの綺麗な人と友達になった。
回転レシーブが相当印象的だったらしく、後になってあの時の話を聞くと
「いきなり回転レシーブ見て引いたわ」
辛い初印象である。

事態を収拾したのはmeなのに!


 ちなみに、その時泣かされて私が慰めてあやした子だが、その日皆で雑魚寝する事になった誰かの下宿で
「さっきはごめんね、ありがとう」
と声をかけてきたのだが、さすがに目の前で号泣している所を見られるわ慰められるわというのも恥ずかしかろうと
「あー、気にしーへんそんなん。膝枕ならいつだってしたるで。ほーらこちょこちょ」
と耳掃除の真似事をして相手が笑ったあたりで手を放した。

 その子は「男にモテるタイプ」の子で一回生の時から「可愛いよな」とコンセンサスが取れていたほどだった。
当然ながら私も悪くなく思っており、バーベキュー大会でのもめ事は彼女との距離を縮める契機となったのかも知れないが、ヘタレな私はその場の空気を
「いつもの空気」
にする事で潰してしまった。

 その後知ったのだが、彼女は自分が泣いてしまった時に
「女の子を泣かすとは何事か!」
と怒った単細胞とお付き合いしたらしい。しかも理由が
「私の為に怒ってくれたから」
だそうで。

 はあ?である。

「あの場を収めたのは僕ちんだし本来惚れるならそれは当然僕ちんの筈じゃん!」

かようにソフィスティケートされたふるまいといえば響きはいいが、場を収める事にだけ長けていてもあまりいい事はない。

絶頂バーベキュー、その後

 七夕バーベキューも終わってしばらく経ち、大学は夏季休暇前の集中講義の時期に入っていた。

 まだ今ほど夏が暑くなかった時代であるが、やはり暑い事は暑い。駅からキャンパスまで徒歩30分の山道を歩いていると、少し前を歩いている人がいた。というか、バーベキュー大会で知り合いになれた例の綺麗な人やん。

 声をかけると、「後ろからずっと足音がついてくるから何かと思ってた(笑)」と悪くない感触。というか、物凄くフレンドリー。

 楽しくお喋りしながらキャンパスまで歩き、講義中も内容はそこそこに筆談ですませ、大学が終わると阪急淡路駅前の喫茶店で更に話しこんだ。

 そんな調子で急速にお互いの距離が急に縮まっていったので簡単に要約すると、彼女は大阪大学経済学部のOGで化粧品会社に勤めていたが退職し、人間科学部に社会人枠でこの四月から編入していた。目的は臨床心理学講座を経て臨床心理士になる事。

 上手くいっている途中の恋愛というのは本人たちしか興味のないものである。事実だけ並べると、私は当時友人の紹介で付き合い始めて一か月の彼女に土下座して別れてもらい夏の終わりには彼女と付き合い始めた。

 彼女は社会人時代の貯蓄があるとはいえ、臨床心理士になるには大学学士課程に修士課程を修め入学した大学院によっては実務経験を何年か積む必要がある。学費の用意はいくらしても足りるという事はなく、私ほどではないがほぼ毎日バイトを入れていた。

 細切れの時間を縫うように一緒にいた。

彼女から遠くに行く為の努力

分かってくれとは言わないが、分かろうとした方がいい

 彼女は私が21歳の時に出会ったが、6歳年上の27歳だった。
まあ、社会人としての洗礼を受けているかどうかだけでも全く考え方も思考も違ってくる。

 バイトの予定の事を「仕事が・・・」と言うと「仕事じゃない、バイトでしょ」とよく直された。
今思うと割と大人気ないなという気もするが、別段大人でも無かった私と付き合っていたのだからそこはまあお互い様だったのかもしれない。

 とはいえ、その頃の私が相手の気持ちを考えて言葉や行動で示すなどといった発想があった訳でもなく
「自分はこう思う」「自分はこうした」と常に主語が「自分」の自己中心的な世界観で生きていた。

 ある日、バイトで疲れたという話をしたら
「バイトを入れすぎていて体が心配」
「というか遠くに行ってしまうのは嫌です」
という言葉が返ってきた。

 当時の自分は、
「自分の目標の為に頑張っているのに水を差すような事を言われても困る・・・」
としか思えなかった。

「自分から離れて遠くにいってしまう事が嫌だ」
というシンプルだが素直な気持ちに思いが至らなかったあたり、21歳というよりは21歳児と書いた方が適切なのかもしれない。

これ留学の話だよねえ!

 なんでおっさんが昔の女の思い出に浸っている文章だけで記事になるんだよ!
と言われたらどうしようもない。すまん。

 ただ、削りに削ってこうなんである。これ以上削ったら人物描写ができない。バーベキュー大会についてはいらんだろと言われたら書いていて面白いパートだったから個人的に削りたくない。
字数が多くなりそうなので、前後編に分割してキモの部分は後半に載せる事にします。

こちらに続きます
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コメントをもらえるとうれしいです

コメント一覧 (3件)

  • ううむ
    付き合いはじめて1ヶ月で土下座した
    なかなかのゲス野郎ではないですか!🤣

    遠くはいっちゃ嫌だ
    可愛らしいけど、そこら辺でひろぽんさんには疑問符が,,,
    お別れフラグジャーン

    さて、次行きます

    • まどかさん、コメントありがとうございます。
      >付き合い始めて1ヶ月
      実はその前に知り合ってから半年くらいお友達として過ごしてきました。

       東京で就職していたのですが、ある日仕事を辞めてそのまま私のバイト先を「ひろぽんさんいますか」と訪れて下宿から私を呼び出してそのまま下宿にやって来るという行動力のある方でした。

       そこまで追いかけてきてくれる相手に別れを切り出すのは気がとがめる所ではありません。

       それでも惚れてしまったものは是非も無し。

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